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脊柱管狭窄症

**脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)**は、背骨の中にある脊柱管という神経の通り道が狭くなり、神経を圧迫してしまう状態のことを指します。この病気は、特に高齢者に多く見られ、腰部脊柱管狭窄症が一般的です。脊柱管狭窄症は、腰や足の痛み、しびれ、筋力低下を引き起こし、歩行や日常生活に大きな支障をもたらすことがあります。

脊柱管狭窄症の原因

脊柱管狭窄症の主な原因は、加齢や長年の背骨への負荷です。次のような要因が関係しています。

  1. 椎間板の変性: 椎間板(背骨の骨と骨の間にあるクッションの役割を果たす部分)が加齢によりすり減り、周囲の神経に圧力をかけます。
  2. **骨棘(こつきょく)**の形成: 背骨の変形によって、骨の突起物(骨棘)ができ、神経を圧迫します。
  3. 靭帯の肥厚(ひこう): 背骨を支える靭帯が厚くなり、脊柱管が狭くなってしまいます。

症状

脊柱管狭窄症の症状は、神経が圧迫される程度や部位によって異なります。以下の症状が一般的です。

  • 歩行時の足のしびれや痛み: 特に歩くときに足が痛んだり、しびれを感じたりすることがあります。これを「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」と呼び、しばらく休むと痛みが軽減します。
  • 下肢の筋力低下: 足の筋力が弱まり、長く歩くことが難しくなります。
  • 腰痛: 腰部脊柱管狭窄症では、腰に痛みや違和感が現れることが一般的です。

エビデンスに基づく脊柱管狭窄症の理解

研究によると、脊柱管狭窄症の原因として最も多いのは加齢による背骨の変化です。これは自然な老化プロセスの一部であり、骨や椎間板、靭帯が変性することで脊柱管が狭くなります。
2017年に発表された研究では、50歳以上の人々において脊柱管狭窄症が発生しやすく、特に**70歳以上では約30%**が何らかの形で脊柱管狭窄症を経験していることが示されています。
また、手術以外の治療方法に関しても研究が進んでいます。例えば、2015年のランダム化比較試験では、脊柱管狭窄症の患者に対して物理療法(理学療法)と手術の効果を比較したところ、軽度から中程度の症状に対しては、物理療法が手術と同等の効果を持つことが示されています。

治療法

  1. 保存的療法(手術をしない治療)

  2.  

    • 鍼灸施術: 針や灸を狭窄を起こしている部位に行う事で神経の伝達を助けていきます。背筋の筋肉の調子を上げる事で、体の動きも整えていきます。
    • 理学療法: 筋力を強化し、柔軟性を向上させるエクササイズが推奨されます。これにより、脊柱の安定性が高まり、神経への圧迫が軽減されることがあります。
    • 薬物療法: 痛みを緩和するために、鎮痛剤や抗炎症薬が使用されます。
    • 生活習慣の見直し: 腰に負担をかけない姿勢や、適度な運動を取り入れることが症状の軽減に役立ちます。
  3. 手術療法

    • 減圧手術: 神経の圧迫を取り除くために、狭くなった脊柱管を広げる手術です。手術後は、症状が大幅に改善されるケースが多く報告されています。

セルフケアと日常生活での工夫

  • 姿勢改善: 背骨にかかる負担を減らすために、姿勢を良くすることが大切です。特に長時間座る場合、腰をしっかりと支える椅子を選びましょう。
  • 適度な運動: 無理のない範囲でウォーキングやストレッチを行うことで、筋肉の柔軟性を維持し、症状の悪化を防ぎます。
  • 温熱療法: 温めることで筋肉のこわばりが和らぎ、痛みが緩和されることがあります。自宅でも温湿布やお風呂で体を温めることが効果的です。

まとめ

脊柱管狭窄症は、加齢による背骨の変化が主な原因であり、痛みやしびれ、筋力低下などの症状が現れます。治療法には手術を伴わない保存的療法から、症状が重い場合には手術療法までさまざまです。理学療法や生活習慣の改善、適切な運動などを取り入れ、早めに対処することが重要です。