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乾燥肌のケア

乾燥肌とは、皮膚の水分と油分が不足し、肌がつっぱったり、かさついたりする状態を指します。乾燥肌は特に秋冬に多く見られますが、季節に関係なく発症することもあります。皮膚のバリア機能が低下し、外部の刺激に対して敏感になり、かゆみや赤みを引き起こすこともあります。

乾燥肌の主な原因

  1. 皮膚のバリア機能の低下:

    • 皮膚の一番外側にある角質層には、水分を保持し外部の刺激から守るバリア機能があります。このバリアが何らかの原因で低下すると、皮膚の水分が蒸発しやすくなり、乾燥肌を引き起こします。年齢とともに皮脂分泌や角質細胞の水分保持能力が低下しやすくなり、乾燥肌のリスクが増加します。
  2. 外部の環境要因:

    • 空気の乾燥、冷たい風、暖房による乾燥、長時間の入浴や過剰な洗顔などが乾燥肌を悪化させる原因となります。これらの環境要因は肌から水分を奪い、角質層をダメージさせやすくします。
  3. 加齢:

    • 年齢を重ねると皮脂腺と汗腺の機能が低下し、皮脂や汗の分泌が減少します。その結果、皮膚の自然な保湿機能が低下し、乾燥しやすくなります。また、コラーゲンやエラスチンの生成が減少し、肌のハリや弾力も失われやすくなります。
  4. 内的要因:

    • 栄養不足や水分摂取不足、ストレス、睡眠不足も乾燥肌の原因となります。特にビタミンや必須脂肪酸の不足は、肌の健康維持に重要な役割を果たしています。
  5. 皮膚疾患:

    • アトピー性皮膚炎や乾癬などの皮膚疾患がある場合、乾燥肌が悪化することがあります。これらの疾患では皮膚のバリア機能が極端に弱まっているため、適切な治療が必要です。

乾燥肌に対するエビデンスに基づくケア

  1. 保湿剤の使用:

    • 保湿剤を適切に使用することは、乾燥肌の基本的な対策です。セラミド、ヒアルロン酸、グリセリンなどの保湿成分を含む製品は、肌の水分を補給し、角質層のバリア機能を回復させる効果があります。特にセラミドは、肌の保湿に重要な役割を果たしている成分で、乾燥肌の治療において効果が実証されています。
  2. ぬるめのお湯での洗顔・入浴:

    • 過度な熱いお湯での洗顔や入浴は皮脂を過剰に除去してしまい、乾燥を悪化させます。ぬるめのお湯(32〜34度程度)を使用し、保湿力の高い洗浄料を選び、洗顔後にはすぐに保湿することが推奨されます。
  3. 適切な食事と水分摂取:

    • バランスの取れた食事は肌の健康維持に不可欠です。特にビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、必須脂肪酸(オメガ3脂肪酸など)は、肌の保湿機能をサポートするために重要です。水分も適切に摂取し、体内の水分バランスを保つことが大切です。
  4. 室内環境の調整:

    • 冬場の乾燥や暖房による影響を軽減するために、加湿器を使用して室内の湿度を50〜60%に保つことが乾燥肌の予防に効果的です。

鍼灸施術による乾燥肌の治療

鍼灸は、東洋医学の視点から肌の乾燥を改善するための効果的な方法とされています。東洋医学では、乾燥肌は「体内の気や血の不足」や「陰の不足」が原因と考えられています。鍼灸施術は、体内のエネルギーのバランスを整えることで、肌の保湿能力を内側から高める助けとなります。

  1. 気血の流れを整える:

    • 乾燥肌は東洋医学では「血虚(血の不足)」や「陰虚(体の潤いの不足)」として説明されることがあります。鍼灸はこれらの状態を改善するために、特定の経絡やツボに針を打ち、体内の気血の流れを促進します。これにより、肌に必要な栄養素や水分が効率よく行き渡り、潤いが保たれるようになります。
  2. 自律神経を整える:

    • ストレスは乾燥肌を悪化させる要因の一つです。鍼灸は自律神経のバランスを整え、ストレスを軽減することで、肌のバリア機能の回復を助けます。これにより、肌が外部の刺激に対して強くなり、乾燥が改善されることが期待できます。
  3. 内臓の調整:

    • 消化器系の不調や肝臓の機能低下が乾燥肌の原因となることもあります。鍼灸では、これらの内臓機能を整える経穴にアプローチし、体全体の健康状態を改善することで、肌の潤いを取り戻します。

鍼灸施術のエビデンス

鍼灸が乾燥肌に効果的であることは、一部の研究で示されています。例えば、2015年の研究では、鍼灸が乾燥肌の患者に対して皮膚の保湿効果を高めることが報告されています。また、鍼灸が体の血流を促進し、内臓機能を改善することで、全身の健康状態が向上し、結果的に肌の乾燥が改善されることが確認されています。

セルフケアのアドバイス

  1. 保湿を徹底する:

    • 毎日のスキンケアでは、保湿成分を含む化粧水やクリームを使用し、肌の水分を補うことが重要です。特にお風呂上がりの肌は乾燥しやすいため、すぐに保湿剤を塗ることが効果的です。
  2. 日常生活の見直し:

    • 冷暖房を長時間使用する環境にいる場合は、加湿器を使って湿度を保つことが大切です。また、こまめに水分を摂取し、体内からも水分補給を意識しましょう。
  3. 栄養バランスの取れた食事:

    • ビタミンやミネラル、特にビタミンAやビタミンE、オメガ3脂肪酸などを含む食品を積極的に摂取することが推奨されます。これらの栄養素は、肌のバリア機能をサポートし、乾燥を予防する効果があります。

まとめ

乾燥肌は外部環境や生活習慣、加齢などさまざまな要因で引き起こされます。基本的な対策としては、適切な保湿や環境調整が重要です。また、鍼灸施術は体の内部から乾燥肌を改善するアプローチとして注目されています。鍼灸は、気血の流れを整え、自律神経を安定させ、内臓機能をサポートすることで、乾燥肌を根本的に改善する効果が期待されています。